あなたは大腸がん手術を受けたばかりですか？
これから受けるのですか？
それとも、大切な方が手術を受けるのですか？

その手術が開腹ならば、そして直腸手術ならば特に、
手術後いちばん最初の心配は「イレウス(腸閉塞)」なのではないでしょうか。

イレウス経験者のわたしの体験談は、きっとあなたのお役に立つと思います。
ちょっと回想してお話ししますね。
*この記事は、直腸がん開腹手術から5年目に書いた体験談です。

イレウスの兆候　私の体験

大腸(直腸)がんの手術の退院後、３ヶ月ちょっとした時にわたしはイレウス(腸閉塞)を起こしました。

術後2～3ヶ月は癒着によりその可能性があるので、食事を気をつけなくてはいけない。

けれど３か月を過ぎると
「さぁ、そろそろ大丈夫」という気のゆるみと、社会復帰してカラダを動かすようになったことで、おなかがすいてすいて（胃は丈夫ですので・笑）食欲が急激に出てきました。
さらに、早く元気に人並みになろうと、妙に頑張っていっぱい食べたい時期でもあり・・・と、まあそんな感じのときに、やってきたのです。

イレウスの兆候は、
①おなかが張る
②ガスが出ない
③ものすごく痛くてガマンできない
④気持ち悪い
⑤吐く
と言われてます。

その日はとっても寒い日でした。
でも薄着で仕事に出かけたため、体が冷えきってとっても疲れてしまったのです。
だから実家に寄って、泊まっていくことにしました。

なんとなく「おなかが張ってるな・・・」とは感じてた。
でもその感じ…、実は何日も前からあって、それでも何事もなかったので気に留めないようにしていた。

気になってたのは、むしろ便秘のほう。
以前は便秘知らずだったのに、術後はスッカリ便秘症になってしまい、どうしたものかと悩んでいたから。
その日も、イレウス予防のため便秘にならないようにと

「しっかりお野菜を食べなくちゃ！」って思っていた。

夕ごはんはあまり食欲がなかった。
冷たい稲庭うどんと、生桜海老ときゃべつの小さいお好み焼きをちょっとずつ食べた。

食べてる途中に、突然おなかがキューーーーっと固まるみたいなカンジになって、
カチンカチンパンパンになってきた。

痛みは胃痛に近い。そんな感じ。
その時は、おなかが痛いとか、そんな感じはありませんでした。

イレウスになるかも?と思ったときの対処

こうなってしまったら、イレウスになる可能性もあるので

①食事はやめる
②お腹を温める

そうナースから習ってたので、
すぐに食事をやめて、湯たんぽをお腹にあててベッドに入りました。

けれどいつまでたっても、おなかは音もたてず動いている様子もない。
「ああ、胃腸が完全にストップしたな」
「イレウスになったら大変だ!!」と、思いました。

もっと体を温めなくちゃと思い、
「お風呂にでも入ろうかしら？」と思ってるちに、
だんだん気持ち悪くなってきた。

ムカムカとは違う。
おなかの中の奥のほうから、ググッと動いてこみあげてくるような、
気持ち悪い感じ。

そこで初めてここ数日を振り返り気づきました。

そういえばガスが全然出てなかったな。
出たらラクになるのにな～

そう思っているうちに
どんどんお腹が張ってきて、
あれよあれよという間にパンパン!!

とりあえず朝になるのを待とうと決める。

イレウスと自己診断の夜

深夜あまりにノドがかわいてスポーツドリンクを飲んだら、
一気に吐いてしまいました。
でも、少し気分がすっきりしたのを覚えています。
しかし、その後うなされ続けて一睡もできないまま夜が開けた。

朝、これはただごとでない「絶対イレウスだ」と思い、主治医に電話。

「すぐに病院に来るように」とのこと。

その時は耐えられない痛みや吐き気ではなかったので、
一人で病院に向かうことに。
お腹を締め付けると吐きそうだったので、ブカブカの洋服を着てでかけました。

病院でイレウスの検査

問診後、すぐに腹部レントゲンをとる。

「便秘はひどいけど、イレウスではない。
浣腸処置をすれば症状は改善するだろう。」との診断。

処置後お休みして、薬をもらって帰ることに。

「イレウスではない」との診断をされたものの、
帰り道ひと駅ごとにひどい嘔吐。

とにかく人生で最悪に気持ちが悪かった。

イレウスの不安を抱え帰宅
辛い一夜を過ごす

夕飯はひと口も食べる気さえしなかったけど、、
処方された薬は飲まなくちゃって思い、薬を飲む。

そしてすぐに嘔吐。

水を飲むだけで嘔吐。薬飲まなきゃよかったと後悔。

「絶対にイレウスだ腸閉塞だ、どっちでもいいけど何とかしてー」

夜。気持ちが悪くて寝ることが出来ず、座ったり横になったり・・・。
気持ちが悪くて悪くて体の置場がないが、

でもなんとか耐えよう。頑張ろうと思った。
朝になったらよくなるかも・・・と淡い期待。

痛みよりも、気持ちの悪さが断然強かった。
おなかの奥の魔物がぐーっと巻く。そんなかんじだった。

明け方からは、もう寝返りをうつだけで吐き気と嘔吐の繰り返し、
気分がよくなったり悪くなったりの、繰り返し。

もちろんガスも便もまったく出ず、二晩連続で一睡もできず。
さらにおなかはパンパン風船。よくもまあ、こんなに膨れるものだというくらい。

でも・・・朝になると、少し気分がよくなってた。
やっばりイレウスじゃなかったのかな?

と、、、

「薬を飲んだら完治かな～？」などとノンキに水を飲んだとたんに!!
トイレに駆け込み嘔吐！

ここでギブアップ～。　寒気ブルブルで病院直送！

やっとやっとイレウスと診断

病院につくと、診断は明らかなイレウスとのこと。即入院。

熱を測ると４０度近い高熱。寒いわけだ。

なんで昨日入院させてくれなかったの？という思いが頭をかすめたけれど
そんなことを言ってみたところで症状は改善しないので沈黙。
でもすごくつらかった。

結果として手術にはいたらなかったけど、２週間もの入院。
辛い辛い治療をうけることになってしまったのです。

やっと回復した体力も体重も
大腸がん手術後よりも落ちてしまい、
イレウス/腸閉塞体験はがん再発の不安をも生むことに、、。

そのあたりのことは、
著書に記してあります。

私はこの痛みと苦しみに恐れをなし、
腸に優しい料理を研究することになったのであります。

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こんなかんじだったと思います。
もう５年前のことなので、曖昧なところもあるのですが・・・。

イレウス経験者の考察

いちばん難しい問題は
「気持ちが悪い」とか「痛い」という感覚は、
人によってかなり違うことです。

痛みの尺度はないですからね・・・だからやっかいなのです。
どこが線引きかなんて、誰にもわからないのです。

わたしの場合は「耐えられない痛みや気持ち悪さ」は、突然やってきました。
できれば入院したくない、イレウスでありませんようにと願ったことも、
痛みを抑えつけたのかもしれません。

だから、耐えられない痛みや気持ち悪さ」はひたひたと
長い時間かけてピークに行ったように記憶しています。

そしてそのピークは、なんと入院してからやってきたのです！
さらに気持ち悪くなってしまったのですから、
自己診断は難しいですね。

思うに。

とにかく、最悪の事態を招く前に
最悪の事態を招かぬ努力をするべきと思います。

例えば
①カラダを冷やさない。
②調子にのって食べない。
③消化の悪いものやツルツル麺を食べない。
④おなかが張ったら食事を抜いてみる。

イレウス回避いちばんの方法

でもいちばんの近道は、
ちょっとオカシイと思ったら、その道のプロの主治医に電話して相談してみることです。

わたしもその後何度も、
「イレウスかも? ああヤバイ」と思うことがありました。

しんどい思いをするのは嫌だから、
そのつどアドバイスをうけて、しのぎました。

イレウスの前兆には何度も見舞われましたよ。
でも大事に至らなかったのは、
アドバイスをいただいたからだと思います。

1.危ないと思ったら、早い時期にガスを出す。
2.おなかが張ってるな、と思ったら、かるい体操やおなかマッサージ、
3.湯たんぽやホカロンで、全身＆おなかを暖めるなどの

早めの対処が効果的。

とはいえ、努力してもイレウスになる時はなるらしいので・・ひどいわよね(苦笑)
あまり神経質にならず、
心配なときは、シツコイと思われようと嫌われようと、
主治医に電話で相談するのがいちばんと思うのです。

これがポイントですよ。

病人よ、ズーズーしくあれ♪

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Ｐ．Ｓ．
私の著書「きょうも、おいしく」の巻末に、国立がんセンターの赤須孝之先生とのＱ＆Ａの中で、イレウスのことや、なぜ食事に注意が必要か、など詳しく説明してくださっていますので、よろしければ見てください。　図書館にもあると思うので、利用してみてくださいね。゛